スーパージェットキノコ

流星の如くシーンに登場したと思いきや、瞬く間にパーティー界隈の社会現象になってしまった稀有な突然変異バンド、スーパージェットキノコ。

 

ロックンロール、トランス、サイケデリック、祭り、どんちゃん騒ぎ、奇想天外、狂喜乱舞、破天荒、ええやないか、何でもあり…彼らの音楽を表現しようとするとそんなワードが並ぶが、一貫してどの曲にもしっかりキノコの遺伝子が宿っている。

空間を飲み込み、更にはねじ曲げてしまう圧巻のライブパフォーマンスと驚異的なまでのGoodVibesの伝播力は、もちろんメンバー個々のポテンシャルの高さに裏付けされたものであるが、関西のアンダーグラウンドにおいては、彼らはバンドというより、もはや「現象」や「共同体」と呼んだほうが的確かも知れないレベルの熱狂を生んでおり、ジャンルや人種の境界線を超越した「わっしょい」を合言葉とする独自のカルチャーを牽引している。これは関西ゼロ世代以来最大のムーブメントとして、トランスシーンとも密接にリンクしながら今なお成長中である。

 

デビューアルバムの興奮と余韻がまだまだ冷めやらぬ中でリリースされるファン渇望の2ndアルバム「キノコ教典 ~俺の菩薩~」だが、彼らのファンなら一聴するだけで笑顔でハッピーな気持ちになれる、大満足の素晴らしい出来映え。

根拠を必要としない前向きな精神性、純粋無垢な肯定の哲学、そして生粋のキャッチーさはそのままに、より洗練された音、より一体感を増したグルーヴ、よりダンサンブルに多幸感マシマシにパワーアップしたキノコ節が堪能できる。キノコからのマッドチェスターへの回答とも言える新境地、メローでキモちEバラード「SUMMER」は必聴。

 

いつだって音楽というものは、語るものではなく感じるものであるはずだ。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損ということで、色眼鏡を外してオープンマインドになったとき、あなたは初めてスーパージェットキノコの真価を目の当たりにするだろう。

 Text by 天之川タクヤ (アシッドムービー研究家)